ここ数日関西の教員の中で話題になっているのが今宮工科高等学校のバレー部の動画の問題です。今回は教員目線の感想を書いてみたいと思います。
注)あくまで一人の教員の感想なので教員全体の思考ではないということを理解してお読みください。
何があったのか
5月の休日の練習試合なんですかね?とある高校の部員が今宮工科高校のバレー部の練習風景を撮影したものをツイッターにアップしたそうです。動画の内容が、よくあるワンマンと呼ばれるもので、ボールを取れないところに投げてレシーバーの人がそこに飛び込んで拾おうとするものです。その途中で、レシーバーの子の顔目掛けてボールを投げているので体罰なのでは?という意見が殺到し、炎上しているのです。
バレーボールの練習では日常茶飯事?
さて、まずは競技の性質を考えます。バレーボールって基本的に体に当ててボールを上に上げるスポーツです。本質的なことを言うと、スパイクで打ち込むよりもボールを落とさないことが最重要とされています。
ワンマンをする目的としては、
①取れないかもしれないボールも諦めず飛び込むクセをつける。
②しんどくて動けなくなりそうでもそれでも動く精神力を鍛える。
この2点くらいですかね?まぁ、どちらかというとミスをした人が罰ゲーム的な扱いでやらされることは多い練習のイメージです。
練習としてはよくある練習ということですね。
顔に向けてボールを投げることについては?
基本的には良くないことだと思います。ただ、これが体罰にあたるのかというと個人的には体罰とは言えないのではないかな?という印象です。やりすぎとも言える部分はありますがこれを体罰とするのは少し厳しい気もします。
なぜ厳しいかなーと思うのかと言うと、「投げつけている」から体罰のように捉える人がいる。
ではこれが打った球だったら?強打レシーブとかも練習にあったりしますが、顔に当たることもありますよね。(打つ人が下手糞なんですが)
体罰の線引きは難しい
正直な感想としては、この指導者の指導方法は好きではありませんし、一緒に部顧問をしたくないです。しかし、厳しい指導で生きる道を見つけることができる人もいるし、何でもかんでも体罰という言葉を使うと、今度は生徒側が「体罰や!」と言ってなんでもかんでも訴えるようになります。
結局のところ正しい指導ですらも訴えられるようになるんですよね。当然の話として体罰はいけません。ですが、近年の極端な人権尊重は守られる側がそれを武器にして攻撃するようになっているので体罰だと騒ぎ立てることも嫌です。
結局のところまずはやられた本人がどういう考えなのかが大切なのだと思います。こうやってインターネット上の無関係の素性を明らかにしていない人たちが騒ぐことで、この生徒の本当の気持ちも言えなくなるのではないかと思います。
何度も言いますが体罰はいけません。私自身は体罰なんて受けずに育ちました。(本当に恵まれていたと思います)
一番の問題はSNS
ツイッターの登場、LINEの登場により、高校生の人間関係やトラブルは非常に悪い方向に進んでいます。直接言えないことをネットで書き込んで、本人に見られてもめる。
今回の件も当事者(撮影者も含めて)はこんなに大事になると誰も思っていなかったのではないでしょうか?
今回の指導者をかばうことになってしまうのは不服なんですが、それ以上にこれほどの騒ぎになってしまったこと、騒ぎを大きくしたネットの人間たちに対する不満のほうが大きいというのが私の率直な感想になります。
指導者も変わらないといけない
どれだけ不満を持っても時代や世の中はもこういう流れになっています。教員も社会に適応していく必要があります。
実際のところ生徒だけでも部活動はできます。工夫したり喧嘩したりすることで学ぶことは非常に多いです。言われたことばかりしてるよりもはるかに頭を鍛えることができます。
ただ、学力が低くなると共に人間関係を上手に作れない生徒が多くなります。そして努力することができない生徒が多くなります。
言語理解の面で発達が遅れている生徒に対してはどのように指導していけばいいんでしょうか。毎回図示をしていくしかないのかもしれません。体罰にならない程度の厳しさを持ちつつ接していくしかないのかもしれません。
教員は世の中を感じ、常に考えていく必要がありそうです。
危惧すること
この世の中の風潮がエスカレートすることで、筋トレをさせるのは体罰だ!厳しい声をかけるのも体罰だ!10キロも走らせるなんて体罰だ!という過剰な反応が起こらないか非常に心配しています。(私自身は部活動はあんまり見たくないんですけどね)